執筆・監修:竹井 歩
【Good Habit 代官山代表監修】
ジュニアアスリートに必要なトレーニング|
小学生〜中学生の「正しく強くなる」育て方
成長期のカラダは大人のミニチュア版ではありません。骨の成長と筋・腱の発達スピードには差があり、間違った負荷はオスグッド病やシーバー病などの障害につながります。本記事では、小学生〜中学生を対象に、ケガを防ぎながらパフォーマンスを高める「土台づくり」をフィジカルコーチの竹井 歩が解説します。
① 成長期に起こる課題
小学生(6〜12歳)
- 神経発達のゴールデンエイジ:動作習得・協調性・バランスの発達が著しい。
- 起こりやすい症状:シーバー病(踵痛)、柔軟性不足による走跳動作の乱れ。
中学生(12〜15歳)
- 急激な身長増加:骨の成長に筋・腱が追いつかず、張りや痛みが出やすい。
- 起こりやすい症状:オスグッド病(膝下痛)、腰痛、ハムストリングスの張り。
② 土台をつくる5つの要素
要素 | 目的 | 代表ドリル |
---|---|---|
安定性 | 姿勢制御・出力の土台 | デッドバグ/サイドプランク/バードドッグ |
可動性 | 柔軟性向上・動作効率 | インチワーム、股関節90/90、胸椎回旋 |
動作スキル | 走る・止まる・跳ぶの習得 | Aスキップ、加減速ドリル、ジャンプ練習 |
筋力 | 安定性向上・出力向上 | スクワット、ヒップヒンジ、プッシュアップ |
持久力 | 回復力・ストレス耐性 | テンポ走・インターバル走(年齢に応じて) |
③ トレーニング指針
- 頻度:週2〜3回(競技練習と重なる日は合計90分以内)。
- 強度:RPE 4〜6(軽く息が上がる程度)を目安。痛みが出る強度は避ける。
- 量:小学生 40〜80回/中学生 60〜120回(ジャンプ・着地系)。
- スピード系:短距離(10〜30m)×4〜8本→完全休息で質重視。
④ 実践ドリル例
ウォームアップ(共通)
- ジョグ → ダイナミックストレッチ(腿上げ、スイング)
- 足首曲げ伸ばし・股関節サークル 各10回
- Aスキップ15m×2、トロッティング15m×2
小学生向け(基礎)
- デッドバグ 10回1〜2セット、サイドプランク 15秒1〜2セット
- スクワット 8〜10回1〜2セット、ヒップヒンジ8回1〜2セット
- 両足ジャンプ着地→片足ジャンプ着地 5回1〜2セット
中学生向け(発展)
- バードドッグ 10回2〜3セット、サイドプランク 30秒2〜3セット
- ゴブレットスクワット 8回2〜3セット、ヒップヒンジ(負荷あり)8回2〜3セット
- 加速ドリル10m×4、ドロップ→ソフトランディング 4〜6回2〜3セット
⑤ ケガ予防とセルフケア
- 膝下の一点痛(オスグッド)や踵痛(シーバー)は中止のサイン。
- フォームの3ポイント:膝を内に入れない/胸を落とさない/静かな着地音。
- 練習後はストレッチ(太もも前後・ふくらはぎ 各30秒)+入浴・睡眠8時間。
⑥ まとめ|「ただ鍛える」より「正しく鍛える」
- まずは体幹・可動性・動作スキルを身につける。
- 痛みは中止のサイン。焦らず修正する。
- 練習量より動きの質を優先。
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執筆・監修者プロフィール
竹井 歩(たけい あゆむ)
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修了
指導実績:
東京ヴェルディアカデミー フィジカルアドバイザー、SFIDA世田谷トップチームフィジカルコーチ兼アカデミーフィジカルコーチなど。
これまでに小学生から社会人アスリートまで幅広い世代へのトレーニング指導を担当。
特に小学生から高校生までのアカデミーでの指導歴は長く、怪我をしづらい身体から動作効率の良い身体にするのは長けており、長期視野でのトレーニング構築は得意としている。
成長期のジュニアアスリートには「ケガを防ぎ、正しい動きで強くなる」ための土台づくりを重視し、科学的根拠に基づくプログラム設計を行っている。